lovers 温

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……おい… ……おい… …おいってば… …ちくしょ… あぁーっっ…!! 腕の下にあるものが急に ジタバタ暴れだし、 繋いでいたはずの温さんの手が はずれる… って…何…!!!? ひょ…ひょっとしてここ… 「…えっ…む…室…」 ガバッと起き上がると、 やっぱりそこは総司のベッドで、 手を繋いでいたはずの… 「あっ…!いたっ」 総司を挟んで向こう側、 目を閉じたままの温さんを見つけた。 「…なにがいただよ…? おまえらこれからセットかよ?…ったく」 自分の体にまだのっかってる温さんの腕をどけると、 総司が軽く私を睨んだ。 「…しかも俺の腹の上で手ぇ繋ぐとはたいした神経だな」 本気で怒ってる訳じゃない。 からかってるのだと気づいて、 ほっとすると同時に、少しだけ切ない。 「…そ…それは私たちの世界じゃ、室君の知らないことが色々あるわけで…。 そんな事より彼熱あるんだって」 「…熱?」 総司が温さんのおでこに手をあてる。 「…みたいだな。熱にうなされてんのにご苦労なこった」 肩をすくめて、 総司が温さんを見る。 「…っさいなぁ…もう少し静かにしてくんないと」 足元から聞き覚えのある声がして、 ギョッとすると、案の定ラブさん。 「…やだ…今回も一緒?」 「おう…カズに室ちゃんじゃねーか 。またこの世界に来れたってわけか ちょうど良かったぜ。 研究室で居残っててさ、ジーッとビーカー見てるだけだし退屈だったのよ」 カッカと笑い、 ずり落ちそうな眼鏡をかけ直した。
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