lovers 温

14/121
前へ
/1697ページ
次へ
「…あり…がと。総司」 目線は合わせないで、 でもさりげなく温さんが言って、 総司は照れ隠しなのか、 「…暇つぶし」 って言った。 「おい、デブ。 雪合戦しよーぜ」 総司がおもむろにラブさんの 腕をグイと引っ張り、 ラブさんが目を白黒させる。 「こ、こんな寒いのに室ちゃんムリムリッ…!」 「うっせ、俺はどーしても雪合戦してーんだよ」 有無を言わせずズリズリラブさんを引きずっていく。 「ちょっ…誰かぁ! カズっ助けてよっ!」 ラブさんが私の足首をつかみ、 それでも総司の力に負けて、 ついにドアの外へ出された。 ラブさんの奇声で騒がしい廊下。 行ったのかと思ったら、 総司が顔半分だけ覗かせた。 「おい…柊」 「え?私…?」 「…そーだよバカ。 後で廊下見ろ」 「え?」 「いーから…」 その言葉を最後にまたドアがバタンッと閉まり、 階段を引きずっていかれるラブさんの断末魔が聞こえた。
/1697ページ

最初のコメントを投稿しよう!

544人が本棚に入れています
本棚に追加