lovers 温

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「ろ、廊下を見ろって室君が。 なんだろー…、なんかこれからの手がかりになるもんでもあんのかなー」 …ドキドキしてしまう。 というのは人間として当たり前だと思う。 異性に触れる…というか、 向こうに少なくとも好意があるっていう状態で、唇、及び体をくっつけあうというのは… そういう事だ。 …なんか堅苦しいな、私。 早口で喋って、 ドアをそっと開ける。 …ん?なんもないじゃん… もう少し開けて… 「…すげーシュールだな…」 って、いつの間にか後ろに来ていた温さんの声…。 確かに…シュール。 これは…なに…? おそらく超高い大皿に載せられた 小さな雪だるま。 目はトリュフの薄切りに、 ゲジゲジ眉はキャビア。 鼻は無くて 口は生ハム…が不気味な角度で。 髪の毛らしき部分はこれまた キャビアを贅沢にオカッパにしてあって、 食べ物を粗末にしたら おかーさんに怒られますよっ! …のものが、 室内の温度に溶けつつ ドデンと載っていた。
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