lovers 温

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限りなくヘンテコなもの…。 なのになんだ…? この胸にキュウウンとくる感じ。 「すごい愛情表現だな。 屈折して、屈折して…で、 真っ直ぐになってる」 温さんが思わずプッと吹き出す。 「あ、愛情表現って」 「…ほら、あいつ1人っ子だろ? カズを姉貴みたいに思ってるんじゃない?」 あ…あぁ、そっちか。 そうだよね…。 溶け行くゴージャス雪だるま…。 室家の温度は高い。 またガタンッ…って派手に音がして、 誰かが勢いよく上がってくる。 息を切らし、 でも笑顔の総司。 雪の白さと似て肌は透き通り、 うっすらと蒸気する頬。 瞳は濃く深く、 見るものを惹きつける。 見とれてしまわなかったと言ったら…嘘になる。 「なんだ温、熱下がったんなら 一緒にやろーぜ」 無邪気にそう言われ、 一瞬たじろいだ温さんが すぐ微笑んだ。 「ちょっ、室くんっ! そんなのダメに決まってんでしょ!?」 「…おまえ彼氏甘やかしすぎだって。 人数いなきゃつまんねーし、 あのデブじゃ相手になんねーんだよっ」 デブ…と定着してしまったラブさん。 総司についていけず、 雪の中、大の字にひっくり返ってんのが目に浮かんだ。
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