lovers 温

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「…雪合戦…ちょーどしたいと思ってた」 温さんが指をポキッと鳴らし、 私がはぁっとため息をつくと、 「心配すんな」 って、頭を撫でる。 「いちゃいちゃすんじゃねー。 ほら、行くぞっ」 クルッと踵を返す総司。 …でもって500坪の庭での 雪合戦が始まった…。 「俺…もうついてけねー…。 だっていつもマウス相手だもん」 ぜいぜい息を切らしたラブさんが 私の隣で眼鏡を曇らす。 広大な室家の庭。 なんとか宮殿っぽい物が置いてあるかと思えば、 茶室の前庭には鹿威しや灯籠があったりなんかもする。 金木犀の木や椿の木やさるすべりの木が、石畳の道沿いに植えられ、そこを通り抜けた先に、 野球でもできそうなスペースがあった。 「…だろうね。 うぅっ、寒い」 体をブルッと震わせ、 子供みたいに走る二人を見る。 温さんも総司も 全身雪まみれ… 大きな音がするほど雪玉を投げ合い、 逃げては追い、追っては逃げ… ゲラゲラと笑って… 「…もう無理だ。 俺ゴージャス風呂で暖まってくる。 二人に言っといて」 青い唇で派手にクシャミをすると、ラブさんは家の中へと 引き返した。
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