lovers 温

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「…あれ…?柊デブは?」 ざっと30分… ラブさんが消えたことすら 気づかなかった二人が、 ようやく私の前に。 「家だよ…。 たぶん勝手にお風呂入ってる」 「カズ大丈夫か? カズは家の中にいれば良かったのに」 温さんが冷たい手で私の手をさする。 …君も今私に気づいた感じじゃなかったっけ? …まったく男子ってのはこれだから… 「なに?柊もやりたいって?」 クックと笑って総司が私の手を急にグイッと引っ張った。 「えっ…ちょっ…やだっ!」 ドサッッ……! 不意打ちくらって顔面に雪… ていうか見事に人型になってるハズ…で… 「カズっ…!!」 こもった温さんの声と、 逆再生で引っ張られる両手。 全身雪まみれ、でなんとか生還した私の手は、 右手が総司、で 左手が温さん…。 「…あのね…いい加減にしてくれないかな」 言いながら手を振りほどいて 口の中の雪を吐き出すと、 二人のバカでかい笑い声。 近所の犬が驚いて吠え、 どっかの家の窓が 迷惑そうにガラガラと開く音がした。
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