lovers 温

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結局私が先に入り、 温さんはその後で。 ピリっとしてしまった二人の空気はやっぱり和まず、 それでもそれぞれが、 それぞれ総司に借りた服で 一つのベッドに横たわる。 「…あんさ…思うんだけど、 俺もう大丈夫だし」 四人、 で天井を見つめていると、 総司がふいに言った。 「え…室君それどういうこと?」 「…もう人殺す気無くなったってこと。 葉月やった相手も結局わかんねーし、 これから先もし分かったとして、そいつら殺して何の得になる? だからさ、柊がその運営に連絡しといてくれよ。もう心配いらねーって」 総司の横顔は何度見つめても、 表情すら表さず天井を仰ぐ。 「…そうか。 ならそれでいいんじゃないか。 な、カズ」 温さんも無表情のまま答える。 …とラブさんはこの肝心な時にイビキをグースカ…。 「いやでも…そんなあっさり。 一体どうしちゃったの室くん…」 人殺ししないでくれるっつうんなら、このサポートは成功した訳だし、 大金もらえてウッホッホ… なとこだが、なんだかな…。 「柊のおかげ、つーか。 あれからさ、そのりりぃとか、他の友達もできたんだ。 明日もみんなでカラオケ行く約束してるし、 WDからも先週抜けた」 …えっ!?ちょっ、ちょっと待って… この数ヶ月…いや、 私にとってはたった4日…ぐらいの間にそんなことが… 「カ、カラオケって何!? ダメだってそんな未成年が」 くってかかる私を止めたのは、 温さんの咳払いだった。 「…カズ…カラオケは今時中学生でも行くよ」 「そ…そうだけど…あっ! 明日平日じゃん、学校でしょ? 尚更だめっ」 …へ理屈ジジイか私は… 「…明日はこっちは日曜、 なんだけど」 ニヤッと笑う総司… 確かに…確かに… なんか変わってしまってるかも… しれない。
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