lovers 温

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「…カズ、ラブ起こそう。 ここの空気吸ってるだけで気分悪い」 怒りがおさまらない温さんが言って、 それがここを出るって事だと思った。 「…え…でも」 「いいから…」 だんまりを決め込んでいる総司を尻目に、 仕方なくラブさんのほっぺを叩く。 「…起きて。 起きてってば」 なかなか起きないラブさん。 「…おまえらだけ出てけば? デブはどーせ明日の朝になりゃ消えてんだろ?」 「…そう…だけど…」 「…カズ、仕方ないけどそうしよう。 ラブとはまた連絡とればいい」 温さんに腕を引っ張られ、 部屋から出ていく途中、 ふと総司を振り返る。 私と一瞬だけ目が合うと、 総司は無表情で携帯を手に取り誰かにかけた。 …夜中の3時… こんな時間に誰に 「あ、山口? ごめんな夜中に。起きててくれて助かったよ。 うん、そ、俺もなんか眠れなくてさー。 うぜー親戚の親父が来ててイビキがうるせーのなんのって。 え?明日?楽しみだよ。 クラスの女子も来んでしょ?」 携帯を耳にあて、 私の知らない総司が喋る。 …クラスの友達。 カラオケの話。 普通の男子高校生…の、 よくある会話。 「…カズ、行くよ」 温さんが私の手をグイと引っ張って、 室 総司は視界から消えた。
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