2重生活

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隣町、といってもうちの近所とは 違う高級住宅地。 ブロロロロロンッッ… 少し手前で エンジンを止め、 洋館のような家を見上げた。 『室』 表札は昨日の夜のまんま。 …でもにわかには信じがたい昨日の状況を、29にもなる私が信じるわけにはいかない。 あの運営会社は巨大な マインドコントロール集団で、 それにかかりやすく実験しやすい人間を選んだ、ってのはどうだ。 …つまりこの家に昨日の美少年はいるって話で、 あの感触はすべて本物って話で… それにしても良い匂い…だったな。 あんな恵まれた顔に生まれて、 こんなでっかい家に住んで 何の不満があって不登校なんだ? サポートって言ってたし、 よし!説教してやるっ。 門柱にあるでかいインターホンを ピンポンすると、 いきなり背後から呼び掛けられた。 「…失礼ですが、どちら様?」 振り返ると警備員、みたいなのがこっちに来る。 違った…警察だ。
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