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それからトイレに行く度彼の背中を借りた。
入院してもうすぐ一か月が経とうとした時
名前も知らない君を知りたくて
ちょっと話がしたいと、バルコニーに寄り道をした。
「俺さ、宮谷聆怏(みやたにれお)よろしく」
『うん。』
「あんたは?」
『戸川理央って言うの。』
「理央ちゃんって呼んでいい?」
ちゃん付け嫌だけどまあいいや。
『あーうん。それでいい』
「もしかして嫌?ちゃん付けされんの」
『え?』
思わず否定したが
「顔に嫌って書いてあんじゃん」
ばれた。
『嫌じゃないよ。』
「いいや。俺も、ちゃん付け苦手だし。」
『じゃあ、理央でもいいよ』
「わかった。理央って呼ぶよ。」
「なんかあったら隣の病室に顔出せよ?俺そこにいるから。」
『わかった。』
この日初めて聆怏と会話らしい会話をしたと思う。
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