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「…意味わかんないアル。」
神楽はいやいやと言うように首を振る。そんな彼女の頬を銀時が撫でた。その目はなにもかも満たされており、逆に恐ろしかった。
「大丈夫だ神楽…俺がお前を守ってやる、俺がお前を愛してやる。だからずっと一緒にいよう。」
(これは誰アルか?)
神楽の目の前にいるのは、彼女が慕っていた銀時ではなく。
己の欲望に狂った亡者だった。
「銀ちゃん、これ外してヨ!!」
「駄目だ。」
断られ、神楽は銀時を睨む。そして一思いに手枷を引っ張った。部屋にメキメキという音が響く。
「薬がひいてきたか…。」
それを見た銀時は何か錠剤のような物を口に含み、神楽に口づけた。
「ぅう!!??」
銀時の口から押し込まれるそれを吐き出せず、神楽はゴクリと喉を鳴らす。途端、体に力が入らなくなった。
「何ネ…コレ?」
「攘夷戦争の時敵を殺すのに使った天人用の毒薬だよ。夜兎には痺れる程度しか効かねーけど。」
それで十分だ、と銀時は薄く笑う。その微笑みに、神楽の頭の中で警鐘が鳴り響いた。
「そんな顔するな神楽…これからはずっと一緒だ。」
その声を最後に、神楽の意識は闇に沈んだ。
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