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(まさか、そんな筈は…。)
新八は自分の中で浮かんでくる銀時への疑問を、必死に消していた。新八は銀時が神楽を好きだった事に気付いていたし、神楽と総悟が結ばれた事に傷ついていたのも知っていた。それでも、銀時は神楽の幸せを喜んでいるはず…そう思っていた。
「…銀さん、新八です。」
万事屋の戸を叩くが、返事はない。新八は銀時に渡されている合い鍵を取り出す。
(まさかこんな形で使うなんて…。)
そう思いながら新八は鍵を回す。鈍い音がして、戸が開いた。目に入って来るのはごちゃごちゃとした居間、そして。
「…嘘。」
鎖で何十にも縛られた、寝室への襖が見えた。中央に、頑丈そうな軟禁錠がある。
「そんな、嘘だ…嘘だ。」
信じられない様子で新八は鎖に近づく。掴んでみると、重々しい音がした。軟禁錠を弱々しく引っ張るが、まったく開く様子はない。その時、後ろから声がかけられた。
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