村松怪談

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私は小さい頃、東京から母の故郷である新潟に引っ越してきた。 小学校にあがる前に両親を亡くし、母方の祖母に引き取られたのである。 当時は東京では滅多に見られない大雪に目を見張ったものだ。 村松に行く途中に渡った信濃川も、遠くに見える越後山脈の屹立も、全てが珍しかった。 引っ越して初めて迎えた冬には、水原町にある瓢湖に連れて行ってもらい、水面に群生した鬼蓮の間をぬって泳ぐ白鳥たちにいつまでも見入っていたのを覚えている。
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