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神山は制服で河川敷にあるベンチに座っていた。
「……今日はまだ文化祭じゃなかったか?」
「構わないさ。どちらにしろ引き継ぎは済ませた。
私抜きで機能しないのでは、これからの生徒会に未来はないからな」
ベンチから立ち上がり、神山はスカートを整えた。
「紗南先輩、来ていただいてありがとうございます」
「良いさ。むしろ、私も二人に聞きたいことがあったところだ」
由奈が神山を?
……ん? そういや、なんで俺は神山のことを知っている?
会長という点なら知っていても不思議ではないのだが……苦手とする理由が思い浮かばないな。
「高橋は本当に死んだのか?」
「!」
俺が記憶を整理しようとしていたら、神山はとんでもないことを言いやがった。
「お前、状況を考え」「いいの」「……由奈?」
俺が怒鳴ろうとするのを、由奈が止めた。
由奈はスゥッと空気を吸って、ゆっくりと吐く。
それから引き締めたような表情になった。
「顔は間違いなく兄さんで、部屋に残っていた毛髪ともDNAが一致したそうです」
「そうか」
「…………」
淡々と奴の死亡を語り出す由奈に俺は思わず言葉を失った。
だが、次に出てきた言葉で思考までもが止まる。
「でも私はあの遺体が兄さんだとは思えません」
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