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俺だけでなく、神山もこの牧師の存在に気づけなかったようで驚愕していた。
「誰だ、テメェ……」
『おやおや、やはり目覚めてないか……ウィアド』
牧師が突然指を鳴らした。
「「「ッ!」」」
その瞬間、俺の頭の中に色んな光景が過る。
黒い豚
黒い甲冑
それを纏って俺が隆志と戦う
それらの映像を見て、目の前の牧師が誰なのか“思い出した”
「――――ロキッ!!」
このロキこそ、俺たちの運命を狂わせた張本人だ。
『そういきり立たない方がいい。私の機嫌を損ねたら、君たちは永遠に高橋隆志に会えないのだから』
「ど、どういうことですか?」
「由奈、耳を貸すな!」
俺は由奈の盾になるような立ち位置で構える。
神山も同様に構えた。
『高橋隆志の部屋からジャンパーが無くなった。
しかし、実はあと二つ無くなった物がある』
ロキはそう言いながら、どこからか一冊のノートと赤く汚れた包帯を取り出した。
『これには彼の思念が強く刻まれており、術を使えば彼の追尾も行える』
「……つまり、高橋は生きていると言いたいのか?」
神山がそこら辺に転がっていた木の棒を構えながらそう尋ねる。
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