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『もちろん。彼は今――おっと、これを言ってしまったら意味がないか』
「ッ! ――テメェ、居場所知ってるなら吐きやがれ!!」
『おや、そんなことを言うと』
ボンッという爆発音がして、ロキが赤い包帯を黒い炎で燃やした。
「あ!」
由奈が大声をあげたが、もう遅かった。包帯は燃えカスすら残さずに消滅した。
ロキは残ったノートを軽く振って見せた。
『これがなくなれば、君らは完全に彼の手掛かりを失うわけだが…………どうするかな?』
「クッ…………!!」
人の足下見るような真似しやがって……ッ!
『ハハハ、まぁそんなに怖い顔をしないで欲しい。
私は君たちに助けてもらいたいのだから』
「……どういう意味だ?」
神山がそう尋ねると、ロキはノートの他に古ぼけた本を一冊出現させた。
『ハッキリと言うと今から3ヶ月後……いや、具体的には2ヶ月と26日で彼は死ぬ。
そういう呪いを掛けられた』
「そんな……ッ」
由奈が手で口を覆う。
俺や神山は表には出さないが、心中では動揺している。
『それを助けるのを条件に、私の仕事を受けてもらいたい。
仕事を完遂したら、ノートを渡して彼の居場所を示しましょう。
もちろん、呪いも解きます』
「何をするんですか?」
俺が制止するよりも早く由奈がロキに尋ねる。
ロキは不敵に笑む。
『まずは、本を受け取りなさい。話はそれからだ』
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