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地面の上で動けなくなった少年の手足は、右手を除き全てがあらぬ方向へ折れ曲がっていた。
これはもう立てない。
そのはずなのに、少年の体がピクリと動いた。
『――グルルルル』
少年とは似ても似つかない獣の声
耳が狼に変わり、少年の手足が瞬時に治る。
『ようやく本性を見せたわね』
少年の様子を見て、ヘルは愉快と言わんばかりに唇を吊り上げた。
『グルルルッ!』
少年は血走った目でエクシアを睨む。
かなりの敵意があるのだが、襲いかかろうとはしない。
そんな少年を見て、ヘルは関心したような顔をした。
『大したものね。そんな状態でも理性を保てるなんて
腐ってもゼクラ・イヲ・クラウセシスの身内なだけあるじゃない。
でも、もう飽きたわ。
ガルム、早く喰らいなさい』
『……御意』
骨格がさらに変化し、エクシアの身体が何倍にも膨れ上がる。
体長が五メートルにもなり、爪や牙もより鋭く強靭な物へと変わった。
『ヴォォォォォォォォッ!』
その強靭な牙が生え揃った口を開きながら、エクシアは少年に向かって突進する。
『ぐ……う……っ、CONVERT』
少年は死神のコートから白龍の剣に戻し、構える。
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