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その姿を見て、エクシアは少年がようやく覚悟を決めたのだと思った。
地面に亀裂が走るほど強く踏み込み少年は前に出た。
互いにそこから交差するまでの間は一秒にも満たない。
そして、少年とエクシアが交差する瞬間が訪れた。
『――――ッ!』
そして肉を引き千切るような音がした。
少年とエクシアは交差を終え、互いに振り返る。
エクシアは無傷
対して、少年の右手は肘から先が喰い千切られていた。
『――あ、ぐっ!!』
右手の激痛から、傷口を押さえて少年はうずくまる。
振り返ったエクシアの顔には、少年の物と思われる鮮血が付いていた。
『…………何故だ?』
エクシアはうずくまる少年に攻撃せず、そう問いかけた。
『なぜ、剣を消して右手を喰わせた?』
『く…………俺は…………』
額から脂汗を流しながら、少年は顔をあげる。
『俺は、仲間を死なせたくないんだよ……!
死なれるくらいなら、忘れられた方がずっと良い!!
だから――――』
少年はヘルを見た。
『ゼクラの魔具と引き換えにハイデルを返せ!!』
ヘルは愉快そうに笑みを浮かべる。
『……へぇ、私と交渉したいと?
良いわよ、その気位はかなり気に入ったわ』
ヘルは少年の決死の行動を称賛した。
なおかつ、ゼクラの魔具についても満更ではなかった。
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