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エクシアが痛みに呻くよりも先に狼は喉笛を噛み砕く。
少年は何が起きたのか解らず唖然とし、ヘルまでもが驚いていた。
『ヴォォォォッ!!』
大気を震わせる声
狼は自分が喰い破ったエクシアの腹の中に再び顔を突っ込む。
『――ゴパッ』
エクシアは穴が開いた喉から血を噴き出した。
残された三つの目の焦点が合わなくなる。
今度は背中からクジラの潮吹きのように血が噴き出す。
そのまま背中を狼が爪で切り裂いて出てきた。
その口には赤い肉の塊がくわえられている。
『――――ガルァ!!!』
狼がソレを噛む潰した瞬間に、真っ赤な血液が飛び散り少年の顔を汚した。
『…………』
少年は完全な放心状態となる。
グラリと、背を預けていたエクシアの体が倒れて、少年はしりもちをついた。
少年の視界の端で、エクシアの体は静かに霧散していく。
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