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『……ガルゥ』
黒い狼は少年に近づくとグチャリと液状化して形を失う。
それが傷口にくっつくと一気に形が代わり、白龍の剣が装備された右手になる。
引き千切られたような痕は一切残っていなかった。
『……ただの半妖なんて生易しい物じゃなかったわね。
紛い物でも二匹の【フェンリル】を飼うなんて……』
ヘルは少年に対して警戒心を露にしている。
『でも、約束は守るわ』
呆然と、完全に肉体が消滅したエクシアがいた場所に視線を送る少年
その少年の前に、一人の少女が現れた。
『……ハイ、デル?』
その姿を確認し、少し我に帰ったようだ。
意識が無いようで、倒れそうになったハイデルをすぐに立ち上がって支えた。
『去りなさい。もう貴様の顔など見たくはない』
少年をそう冷たく突き放し、エクシアがニブルヘイムに来た時と同じ魔方陣が展開された。
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