指先に積もる色

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 深い森の真ん中辺り。  そこだけぽっかりと木々が空をあけ、朝から降り続く雪が降り積り続けていた。  暗闇でもわかる、真っ白な場所。  そこへ静かに身を沈めてみる。  真っ白な雪に包まれて、このまま自分も真っ白になればいい。  衣服を通り抜けてくる冷たさ達も、濁った心ごと浄めてくれるような、そんな気分になりかけたけれど。 「雪って本当は黒いんだな…。」  寝転んだまま見上げた雪は、澱んだ黒い雲から、そのまま剥がれ堕ちてくる。  あとからあとから、無限に続く悪夢のように。  そっと手を伸ばし、指先に積もる雪をしばらく眺めていると、瞳の奥から溢れそうな何かを感じた。
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