いつも聞こえる

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 今日も、兎羽の部屋には差出人不明の煮物が、ドアノブにスーパーの袋に入って揺れていた。  ここへ引っ越してから毎日、引っ越す前にも学校で、誰からも分からぬプレゼントに毎日遭遇していた。 「あーらら…今日もか。兎羽ってば本当にモテるよなー」  うらやましー!と茶化すも、俺の声は恐怖に震えている。  俺が兎羽の部屋に来たのはほんの五分前、ゲーセンへ行こうって約束だったものですぐに部屋から出たのだが、その少しの間にコレが吊るされたということになる。  自分が受取人というわけでもないのが、数年にわたって見続けているため、それなりの恐怖感はある。 「そんなに羨ましいなら持って帰るがいい。僕は今日は外食の気分なんだ」 「い、いらね、遠慮シマス…」  当の標的となっている兎羽はというと、もうすっかり慣れてしまって、好物ならば贈り物を食ってしまうという。  今まで毒物混入はなかったらしいけど、いつ豹変するかわからないんだぞ…。
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