いつも聞こえる

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 兎羽は先々月、不幸にも彼女を事故で亡くした。  トラックに轢かれたのだそうだ。  幼馴染でとても仲がよく、兎羽の就職が決まり次第婚約との話も上がっていたほどの仲だった。  兎羽の沈みようは凄まじく、最近ようやく立ち直った頃に新たな恋人ができたというなんとも微妙…羨ま…波乱万丈な生活をしている友人だ。  新しい恋人ができたといっても勿論もろ手を揚げて喜ぶわけでもなく、前の彼女のダメージを静かに癒しているところである。  何かと死んだ恋人と比べてしまうことを申し訳なく思うと、このまえもぽつりこぼしていた。 「で、昨日の晩はなんていってたんよ、隣の」 「いつもどおりさ…録音するまでもないくらいに」  兎羽が引越し、すぐ次の日に隣の部屋に女が入ってきた。  顔を見たことはないが、兎羽の話によればかなりの美人らしい。  が、その美人が、煮物の送り主でありストーカーなのだ。  …と、勝手に俺が決めた。  実際はどうなのかは分からないが。
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