いつも聞こえる

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「絶対隣のだってー…なぁ、兎羽、ほんっと何とかした方がいいって!」  再三注意し、対策もあれこれ…無い頭で考えて、なんなら俺がとまで言ったのに放置とか。  兎羽は確信をもてないことは実行しない性格だが、毎晩の壁を引っかく音と呪詛…もとい愛のささやき、贈り物の出来立てだと分かる熱、十分怪しいと思えるんだけどなぁ…。 「確かに隣人からのものなのなら丁重にお断りせねばならないな…毎日煮物を持ってこられると食いきれずにもったいないことになる」 「いやいやそこじゃなくってだな」  のんびり構えていられるのも今のうちかもしれないんだぞ。  壁だって引っかいてるんじゃなくて削って穴を開けようとしてるとかだったらどうするんだ。  その安心しきって食べてるものだって、本当は毒よりも鳥肌の立ちそうな何かが入ってたら…。  考えてたら気分が悪くなってきた…。  とにかく気分転換と、煮物を机に放置して改めて出かけることにした。
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