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俺と同じマンションに引っ越してきたのを知らずに、朝、乗り合わせたエレベータ
ーで燃えるゴミの袋持ったまま挨拶したとき一目惚れしたのが一年半前。
彼女は朝に弱い俺でも一瞬で目が覚める様なきれいな人だった、たとえ片手
に燃えるゴミの袋持ってても。
彼女には来年小学校に上がるお嬢さんが一人いる。
お嬢さんが生まれた直後に病気で亡くなって、ご主人はいない。
「クリスマスは、三人で一緒にうちで食事とか、どうかな?」
そう誘われて、俺は二つ返事でOKした。
彼女が言ってくれなきゃ俺が言おうと思ってた。
一緒に過ごすなら、やっぱり三人が良い。
「あの子と二人きりじゃないのは、ずいぶん久しぶりだな」
彼女は嬉しそうに笑った。
クリスマスの過ごし方を相談しに彼女の部屋に行って気づいたのは、リビングの
フォトスタンド。今まで一つだったのに二つ並んでた。
結婚直後に彼女とご主人が二人で撮った写真の隣に増えたのは、何日か前
の休日に彼女とお嬢さんと俺で撮った写真。
写真の中で優しく笑う彼女のご主人は、誠実そうで、背が高くてカッコ良くて、
当然俺なんかとは比較にもならなくて、俺は見る度いつも敗北感を味わってた。
それでも、今は二つ並んでる写真の中の彼女の顔が、どちらも同じ笑顔にみ
えたから、俺はほんの少しだけ安心して、二人分のクリスマス・プレゼントをどうし
ようか、なんて考えることができたんだ。
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