第二章

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「そーですか。いきなりあんな事を言ってすいませんでした」 ぺこり。 女の子が頭を下げて謝ると、それに連動してふわりと腰まで伸びた髪が柔らかく揺れた。 「いや、別に気にしてないけど」 少し素っ気なくなってしまったが、無理もない。 自慢ではないが、女性遍歴はゼロだ。 「で、君はどうしてこんな所に?」 急な話題転換も、しかたない。 自慢ではないが、女性遍歴はゼロだ。 「アリア」 「は?」 「アリア=フローロレス。私の名前です」 これは呼べという事なのだろうか。 訊くに訊けないので、とりあえず誘導されてみる。 「じゃあ、アリア?どうしてこんな所に?」 「逃げてきました」 ――どうやら合っていたみたいだ。 「逃げてきた?何から?」 「悪い人」 なんとも可愛らしい答えで。 まあ、追い掛けてくるような人間に好意は持てないだろうが、にしても悪い人って。 「あっちの方から逃げてきたんですけど、力尽きたみたいです」 その指の差す方向は、俺たちの後ろ。 「そうか。そりゃちょうどいい。すぐそこに街があるみたいなんだ。一緒に行かないか?」 「和君のすけこまし」 「お前は黙ってろ」 不意に話を挟んだ日和を制して、アリアの言葉を待つ。 「いいんですか?では、お願いします――」 着いた先は、そこそこ賑やかな街。 店と思しき家々が、軒並み連ねているから、商業都市か。 店に並ぶ商品をさり気なく確認。 りんご大の果物、100なんとか。読めない。 用途の分からない刃渡り十数センチメートルの刃物1200なんとか。読めない。 まさかのアラビア数字。自称神様に、少しだけ感謝しなければならないだろう。 どうやら物価は、日本と同じくらい。単位は分からないが、数字的に日本円を0.8倍くらいしてやるといいかもしれない。 「なあアリア。あれなんて言うんだ?」 「単位の事ですか、和樹?あれは、ミールですよ」 本当、見慣れない文字だ。 平仮名片仮名漢字でもなければ、ラテン系アルファベットでもない。 むしろ楔型文字とかインダス文字とか言われた方が納得出来る。
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