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11月ペナン島崩壊前日
目が覚めると股の辺りが濡れている。「こんな歳になって…まさか?!」と、ハッとして布団をめくった。が、なんて事はない。ただの亀さんの大病である。
そっとパジャマの中を覗くと、亀さんが血の涙を流していた。
掛かり付けのブラック・ジャック先生なら、500エブリスタコインで完治させてくれる。あまり亀さんのことは気にも止めずリビングへ向かう。と、リビングの表情はいつもと違った。
『君、今日から総理ね』
リビングの表情が何時もより硬く、強張るのも無理はない。いつもの私の指定席には、時の首相・どじょう総理が居たのである。
今日から総理、とどじょうは言うが私は尋ね返した。
――亀さんが病気でも、国民の支持は得れるのでしょうか?
それに対するどじょうの返答は優しく、愛を感じた。
『大丈夫、藤本くん。私もです』
かくして、どじょう内閣あらため、もしもし亀さん内閣が誕生したのだが、私の初の公務は、厚生労働大臣の小宮山をきっちりカタに嵌める事であった。
私は誓った。煙草の増税だけは阻止してみせる、と……。
完
NEXT⇒米部さん
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