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ポンっと頭を叩かれて、顔を上げると、
ユキが、ふわりと微笑んだ。
「木下さんと交渉の上、やっと引き取ったんだ。
お前が、俺に引け目を感じる必要は、全くない」
「・・・」
胸が熱くなる。
喉元まで込み上がってきて、慌てて、ユキの胸に顔を埋めた。
「一度きちんと話をした方がいいと思ってはいたんだけどな。
千鶴を見ていると、木下さんの話をするのが怖かったんだ」
そっと私の頭を撫でながら、そんな事を言うユキにびっくりした。
顔を上げようとして、ユキの手に頭を押さえこまれた。
顔を見られたくないらしい。
「・・・ふぁんで(なんで)?」
「あっちに行くと言いそうでね」
「ほぇ?」
さらにびっくり。
「まあでも、告白もされたし、
”変態”だと、カミングアウトもしたからな。
そろそろ、言ってもいいだろうと思ったんだ」
そう言って、押さえられていた手で、頭をポンポンと叩かれた。
「・・・」
なんか今、”変態”って言葉に、妙な力入ったよね?
チラリと目線を上げると、にっこり微笑むユキの顔。
・・・絶対、根に持ってる。
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