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雨が降っている。
朝からの雨が夜になって一層激しくなり、バタバタと窓に打ち付ける雨音でテレビの声が一瞬、聞こえなくなった。
「ちづ~!」
居間にいる私をキッチンからママが呼ぶ。
「なに~?」
視線はテレビのままに気のない返事をした。
「雨が強くなってきたからお父さんを駅まで迎えに行ってくるわ」
声といっしょにスリッパの音がパタパタと近づいてくる。
「ヒロちゃんのことお願いね!」
「え~?」
面倒くさそうに私が答えると
「それくらい、いーじゃない!
寝てるから連れてけないのよ」
私は「んー」と気のない返事をした後
「ママ~、プリン食べたい!」
と付け加える。
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