第一章 星の命を削る害虫

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「誉、そっちはどう?」 『んー?・・・いつもとなんらかわんねーべ。』 「そう、よかった。あ、時間はわかる?」 『んー・・・あり?時計がない。』 「ちょっと待ってて。」 現実世界の鏡華がプログラムを組んでいく。 ぽんっと浮かび上がるデジタル時計。 『お~サンキューサンキュー』 コンピュータ世界。 ネットの回線に情報として入り込み、縦横無尽に走れる世界。 と、鏡華のパソコンがピコンっとアイコンを表示した。 「・・・サーチセキュリティ・・・誉、早くバグを流した方がよさそうだよ。」 『何でサーチセキュリティが?』 「・・・これは予想外の自然発生みたい。気を付けて、どこに繋がってるかわかんないよ。」 技術が発展したことにより、意志を持ったバグが生まれた。 バグ世界まであると言われている。 自らの意志で動き、性格も人と同じようにバラバラ。 容姿、能力もそれぞれで異なるとか。 『了解。・・・もう少し潜りたいんだけど・・・行けそうか?』 「バグは一匹だからそう難しくはないかな。」 『10秒で沈めてくれ。』 鏡華がカタカタとパソコンをいじりだす。 「3秒よ。」 タンッとエンターキーを押す。 するとすぐに誉の身体が地面に沈んだ。 正確にはすり抜けた・・・だ。 『お~・・・サンキューサンキ・・・・・・っ!!?』 突然誉が息を呑んだ。 「誉?」 『ウソだろ?』 「何?」 『~っ鏡華!!俺を上げてくれ!早く!!』 さっきと同様に素早くプログラムを打ち込み、一番浅い層へ誉を移動させた。 「誉、何があった?」 秋羅のこえに代わった。 『こりゃあ予想外も予想外だ。4層はバグに侵されてらぁ・・・。』 あたりを見回しながら誉が呆れたように言った。 「バグに?」 『それも相当広かった。ありゃ俺らの世界のモンじゃねぇ。バグ世界のモンだった。』 「4層を住処にしやがったな・・・。まぁ大方、会社のセキュリティが薄かったんだろ。」 『俺のバグはこっから流すわ。』 そう言ってフォンっとバグを出した。 バグと言っても見た目は鹿にプログラムされている。 誉が足が速いのがいいと言ってコンパクトな鹿に設計したのだ。 もちろん何処かの会社のセキュリティに捕まっても、足がつかないようにプログラムは完璧だ。 『行っておいで。』 鹿型バグは、少し走り回ると一気に奥の方に消えて行った。
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