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都内バー sea:heaven
ー21:00-
落ち着いた雰囲気の店内。
ピアノメインの音楽。
「マスター。オレンジジュース頂戴。」
一人の男がカウンター席に座った。
黒と銀の混ざった、首が隠れるくらい伸びた髪。
紫色の瞳。
「ここはジュースショップじゃないですよ。秋羅(あきら)くん。」
マスターが呆れたように秋羅と呼んだ男を見る。
「でもあるでしょ?」
意地悪そうにマスターを見返す秋羅。
「もちろんありますよ。」
そう言ってマスターはコップにオレンジジュースを注いだ。
「ありがとう。」
出されたオレンジジュースに少し口をつける。
「秋羅くん。そんなに焦っては駄目ですよ。」
普通に会話をしているだけなのに、マスターは秋羅の心情を読み取ったかのような言葉をかけた。
「わかってる。」
複雑そうな秋羅の顔。
マスターの読みはあながち外れてないらしい。
「もう行くわ。」
そう言って秋羅は席を立った。
残りのオレンジジュースを飲み干し、ドアへ歩き出した。
「また来るよ。マスター・・・」
「いつでもいらしてください。待っています。」
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