第一章 星の命を削る害虫

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(人間はこの地球に巣食う害虫だ。) 秋羅はそう考えている。 数十年前の人間ならまだ生き物と言えた。 だが今となっては唯の害虫。 技術が著しく発展し、第二次高度経済成長期と呼ばれるくらい発展した。 その発展のおかげで人間の生活はより豊かになった。 だがそれが裏目に出たのだ。 人間の体力は経済発展とともに低下し、さらに強欲になった。 治安もどんどん悪化し、金を持っている奴が強い世界。 政府は自分たちに不利な存在は即消去。 何も罪を犯していない一般人も平気で殺す組織。 世の中腐ってる。 それが秋羅にとって許せないことのひとつ。 「鏡華(きょうか)に伝えとこう・・・。」 腕につけていた時計をいじると、画面から立体的な光が出てきた。 その光は徐々に形を変えてゆき、キーボードが出てきた。 「情報なし。まだ動きもなし。」 それだけ打って送信した。 しばらく秋羅は狭い裏路地を歩いた。 突然腕時計がピコッと鳴った。 「電話?・・・鏡華?」 すっと画面をいじり、通話をオンにした。 『秋羅?』 「ああ。なんかあったか?」 『修ちゃんから連絡よ。明日の午前10時、誉(ほまれ)が会社のセキュリティに潜り込むらしいわ。』 「誉が?・・・わかった。明日9時にそっち行くよ。」 『了解。』 フォン・・・と画面が閉じる。 「・・・もうこんな世界うんざりだ。」
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