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地面から十ナンメートルと離れてるであろう宙にぶらさがりながら俺は必死で女の子を見上げた。
後ろから迫り来る白い服装の奴は、なんなんだ?
「お、おいっ」
「家教えて!私、あいつ等に触れられたら終わりなの!」
女の子は焦ったように冷や汗をかきながら怒鳴る。
…触れられたら、終わる?
「とりあえず、隠れなくちゃっ」
わたわたしながら地上に降りていく女の子に、俺は混乱した頭で必死に指を動かした。
「あそこに隠れろ!すぐ俺んちだ!」
驚いた。
掴んだ腕があんまりにも華奢過ぎて、折れてしまうんじゃないかってこんな状況で思ってしまった。
女の子は黒い短めのワンピースをはためかせながらも必死で着いてきた。
その背には、まだ黒い翼がしっかりと付いていて。
「くそっ!逃がしたかっ…」
細道に置かれたゴミ箱の後ろに隠れながら様子を伺うと、白い奴らは舌打ちまじりにまた宙へと飛んでいった。
「はぁ…」
「ありがとう、助かった」
「え…」
すっかり体の力が抜けてコンクリートに崩れ落ちた俺に女の子はさんまを抱えながらも真剣に頭を下げてきた。
「やっぱり、貴方が私の守護者みたいね」
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