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まぁ、人間にどう思われようがどうでもいいが。
確かに、今の状況は少しマズイ。
「兄ちゃん、いっぱい獲って!」
隣できゃあきゃあと騒ぐ妹の甘無の声が俺は我に返った。
「あ、あぁ…って俺が獲るのか」
おそらく150センチもないそいつを背に向け、川に入る。
やはり動きは速いが、爪を突っ込めば一匹なんか容易に取れた。
「ほれ、一匹獲れ……甘無?」
ぴちぴちと苦しそうに手の中でもがく魚を見せても、甘無からは歓喜の声が聞こえない。
いや、正確には姿が見当たらない。
「甘無?甘無っ!」
魚を放り投げ、辺りを見渡そうと後ろを見ようとした刹那。
「……っ」
頭に強い衝撃を受け、目の前が歪んだ。
「ようやく見つけたぜ、悪魔共」
遠のく意識のなか、微かに聞き取れた言葉に俺は問うことも出来ず目を閉じた。
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