崩壊への足音

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あのあと目を覚ました俺は暗闇の中にいた。 甘無も居て、見知った悪魔が何人も悔しそうな表情を浮かべて拳を握っていた。 そして知ったのが、天使が魔界を乗っ取ろうと責めてきた事。 ―それから半年。 俺達は未だ闇に包まれた牢屋から出る事ができないでいる。 「……ねぇ、兄ちゃん」 冷たい壁に項垂れる俺に静かに口を開いた甘無。 「どうした、甘無」 「私、アレを使おうと思うの」 「………アレ、ってまさかお前」 「仕方ないでしょ、私皆を助けたい。ふぃしゅーだって、食べたい…」 「アレは禁止されてるんだぞ?」 「…それでも私は、」 闇の中でも、甘無が俯いて唇を噛み締めているのが分かった。 …分かってる。 俺だって苦しい。 悔しい。 甘無にも、こんな思いさせたくない。 「…分かった、俺も手伝う」 「ほ、んとに?」 「あぁ、俺とお前は離ればなれになるかもしれない。それでも、いけるか?」 「うん!」 俺はそれを聞いて立ち上がった。 …こればっかりは、最終手段だ。 皆、分かってくれるだろう。 「人間界に、行こう」
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