920人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「で? 何なんだ」
「は?」
「その、切ないというのは一体何だ」
シロはちょいちょいとフサフサの尻尾を動かし、俺様の背中の方にあるテレビを指した。
テレビの中では、いわゆるトレンディ・ドラマというやつが再生されている。
どうやら恋人に振られたらしい女が、泣きながら海辺を走っているというシーンだ。
「クリスマスに失恋。切ないよなぁ」
シロはテレビの画面を見つめながら、沁々(しみじみ)と言った。
クリスマス。その言葉に、俺様の耳はピクリと反応する。
むむむ、そう言えば今日はクリスマスイブというやつだったか。
恋人同士が愛を確かめ合い、プレゼントを交換する日だというのは、昨年シロに教わった知識だ。
最初のコメントを投稿しよう!