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「……とりあえずその寝癖直したら?」
シロは含み笑いをしながらそう言った。
「えっ……どこどこ?」
「頭」
「マジ?」
俺様は華が愛用している白いドレッサーに飛び移り、恐る恐る鏡を覗き込んだ。
白地に所々ある茶や黒の模様が何とも男らしい。何を隠そう、俺様は三毛猫なのだ。
鼻先が鏡に当たるくらいの距離でまじまじと自分の頭を凝視する。
確かにぺたんと寝てしまっている俺様のやる気のない毛並み。
喝。
「そうだ。どうせなら今流行りの髪型にして華をびっくりさせてやりたい」
俺様はこたつの上でゴロゴロと転がりはじめていた悪友の方に振り返った。
「流行っている髪型を教えろ、シロ」
シロはこう見えて金持ちで、だから流行にはヤケに詳しいのだ。
どこから取り出したのか、シロは一枚の切り抜きを俺様の前に置いた。
「これだ」
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