ひと玉目「鬼の皮を被った羊」

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 し、か、し、な、が、ら  入学1週間目にして上級生に目をつけられ、ベタなことに体育館裏へと呼び出しを食らい、俺も抵抗なんてしなきゃ良いのについうっかりやり返してしまい、それをきっかけにあれよあれよとまぁ喧嘩を売られる売られる。  殴られるのは痛いし、痛いのはゴメンだからとやり返しちまった俺にも問題があるんだが、いつの間にやら付いたアダ名は『蓼科高校の鬼神』  よくもまぁそんなアダ名がホイホイ付くもんだと、呆れを通り越して感心すらする。  んで、その『鬼神』こと広瀬 昴をひっ捕まえて離さない、俺なんかより遥かに鬼の形相をしてるのが、同じクラスの白岡 あずささんと言うわけだ。  ……いや、恐い。普通に恐い。何この子、何でこんなに必殺……じゃなくて必死な顔でガッシと俺のマフラー掴んでんの? 俺殺す気なの? 首絞める系? バイオレンス?  恐らく、恐怖からまさしく鬼のような顔をしているであろう逃げ腰の俺と、同じく鬼のような顔をしている殺し屋(仮)の白岡さん。in放課後の教室。  何このシュールな構図。
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