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近付く顔。
唇が触れるまで、指1本分と言ったところか。
……首を絞められてちゃ、色気もクソもないがな。
「広瀬君。私は今猛烈に怒ってるの。お分かり?」
はい、勿論。っつーか、首まで絞められてて分からん訳がなかろうて。
頷く俺。ニッコリ笑う委員長。
笑顔に寒気がするなんて、初体験だよまったく。
「このまま手を横に引いても良いけれど、私のお願いを聞いてくれるなら許してあげる。
どうかしら? 広瀬 昴君」
言いながら、手に力を入れてきた。
完璧な脅し文句を、それはそれは可愛らしい笑顔で吐く委員長の姿に、今朝までの彼女の印象は払拭されたな。怖いよ普通に。この子怖い子だよ。サラッと脅してきやがったよ。
命の危機だってのに逆らえる訳もなく、首を縦に振ると委員長は花のように微笑んだ。
「アリガト。広瀬君なら引き受けてくれると思ったわ」
……良く言う。
「……っ……で? 何だよ、お願いって」
手を離してくれた瞬間に首もとを弛め、軽く咳き込みながらも大事なことを質問する。
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