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言っとくが、こんな成りをしてるけど俺は平和主義者なんだ。誰かを闇討ち、なんてごめん被る。
今朝までの委員長のイメージならそんなお願い想像つかないが、今の委員長なら分からん。今と同じ笑顔で「宜しくね」とか言ってきそうな感じだ。大人しい顔して平然と俺の首絞めるくらいだからな。言ってきたとしても驚かん。俺は驚かんぞ。
しかしながら予想に反し、身構えた俺に見えるように机に置いていた本の表紙を見せ、委員長は首を傾げた。
「編み物、教えて欲しいんだけど」
「……はい?」
あみ、もの……?
いや、差し出された本の表紙には確かに『初めてさんの棒あみ百科』とあるから、言いたいことは分かる。分かる……けど……
「何で、俺?」
言いたくないが、学校中に怯えられてる俺だぞ? 顔見た瞬間逃げ出された経験はあるけど、マフラーを絞めて脅した挙げ句に教えを乞われた経験は皆無だ。泣いてなんかない。泣いてないからな。
けど、委員長は俺の質問の意図が分からないと言わんばかりにきょとんと首を傾げ、事も無げに言い切った。
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