ひと玉目「鬼の皮を被った羊」

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「何でって、広瀬君が編み物得意そうだからに決まってるじゃない。見ただけでセーターの編み図だって分かるのよ?  ついでに、私が不器用ってバレちゃったし」 「委員長って不器用なのか?」  知らんかった、委員長不器用なのか。  質問尽くしな気がするがまた聞き返せば、彼女はあからさまに「しまった」と言う顔で口を手で押さえた。 「まさか……気付いてなかったの?」 「あぁ。今知った」 「人の苦労作を『雑巾』とか言っといて?」  まぁ、初心者がいきなりセーターは難しいから、アレくらいは普通だろ。姉貴だって、不器用じゃないのに始めはあんな感じだったし。  すると、傾げた俺の首を今度はじかに締め上げ、委員長は顔を真っ赤にした。 「忘れて! 今の全部忘れて!!」  ちょっ! ちょっ!! 手加減なし?! マジで死ぬ、コレ死ぬって! 「い……いいんちょ……お、落ち着い……」 「そうよ私超絶不器用なのっ! だけど周りの子は何だか私を才色兼備パーフェクトウーマンみたいに理想像固めるしっ 料理作らせたら壊滅的とか言えないんだものっ!」
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