弟は尋常じゃなく…純粋だ

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⛄ 「なんでこんな早く来たんだろう…」 俺は自己嫌悪に浸っていた。 陽南が居るわけでもないのに…俺は待ち合わせ時間より3時間も早く来るなんて…どうかしてる。 「まだ時間あるな…」 辺りを見回すと… 「花屋…」 一番隅に小さく建っていた花屋。 ー陽南に買ってやろうかなー 俺は普段通り過ぎるだけの花屋に吸い込まれるように入っていった 「いらっしゃいませ」 女の店員さんが、いかにも作り笑いと分かる笑い方で俺の事を見ていた。 目が笑ってねぇ…((汗 俺は母さんのプレゼントの花と陽南へのプレゼント(?)の花をどれにしようか選んだが、なかなか決まらない。 …母さんは確か… 「スイートピー…だったよな」 スイートピーは母さんが好きな花だ。 これを店員さんが聞いてたようで 「スイートピーをお探しですか?」 と聞いてきた。 耳はいいんだな。相変わらず目は笑ってねぇけど… 「あ、はい」 「スイートピーはこちらになります」 そこには何色ものスイートピーがあり、どれにすればいいか分からなかった。 だから、俺が最初に目に入った薄いピンクのスイートピーにした。 あと…陽南に合いそうな花は… 「あ!!あのっ」 「はい」 「ひまわり!ひまわりありますか?」 今は夏ではないのに陽南にはひまわりが一番合ってると思ったから聞いてみた。 「小さいひまわりならありますよ」 「見せてもらえますか?」 「かしこまりました。此方へ」 店員の後を付いていくと、そこには小さくて可愛らしいひまわりがあった。 一目惚れだった。 「これください!!」 俺は、ひまわりの花を見つめながら陽南の顔を思い浮かべていた。 ひまわりを陽南に渡したら、喜んでくれるかな? また小さい頃みたいに笑ってくれるかな? 考えただけで陽南に会いたくなってたまらなかった 会計を済ませた俺は、スイートピーとひまわりを大事に抱え、待ち合わせ場所へと戻った。 待ち合わせ時間まであと一時間ちょっとある。花屋に相当な時間いたんだな。 俺は近くのカフェへ入り、温かいカフェオレを持ち帰りで2つ買った。1つは俺で、もう1つは陽南に。 俺はまた待ち合わせ場所へ戻り、温かいカフェオレを飲んで陽南が来るのを待った。
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