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「はぁ…はぁ…はぁ…」
私は弟との待ち合わせ場所に着いた。
辺りを見合わせてもいない…
「冬麻ぁ!!!!冬麻ぁ!!」
私は喉が壊れそうになるくらい弟の名前を叫んだ。
弟の返事はない。
「冬麻ぁ…ごめん…私が悪かったの…私が約束を忘れるから…」
冬麻…ごめん
「こんな寒い中地面に座ったら、風邪引くぞー」
「冬麻!?」
「うん…冬麻だよ!」
私の目の前には冬麻がいた。
顔は火照った様に赤く小刻みに震えていた。
「冬麻…ごめん…ね」
私は冬麻の手を握った。
「気にすんなよ。ほら、風邪引くぞ」
そういうと冬麻は自分が着ていたジャンパーを脱いで私の背中にかけた。
「駄目だよ!!そんなに震えてるのに…冬麻こそ、風邪引くよ」
「じゃあ、こうすれば…」
そういうと冬麻は私の事を優しく包んだ。
「ほら、暖かくなるだろ♪」
私は冬麻の優しさに我慢できず、冬麻の胸の中で何滴もの涙を溢した。
「ごめ…。こんな…お姉ちゃんで…ごめん…ね」
「もう泣くなって」
冬麻は私の涙をぬぐった。
それでも止めどなく出てくる涙。
「陽南…!!」
「………ん!!」
冬麻の唇が私の唇に当たる。
冬麻のキスは、優しくて温かいキスだった。
うそ…冬麻と…
ヤバい…離したいけど、離せない…胸が苦しい。
心臓が爆発しそうになった時、冬麻は私の唇を解放した。
涙が止まっていた。
「…ごめん…陽南…」
「う、うん」
胸が苦しい…何で急に
ドキドキが止まらない!!
「陽南…好きだ」
冬麻が私の目を見て真顔でいった
これはさっき海斗にも言われた全く同じセリフ。
でも、海斗が言ってくれた時と全然違う…。
冬麻の囁きには優しさと愛がこもっているのを感じた。
海斗の時は全くこんなこと思わなかった。
冬麻の優しさに改めて実感した瞬間だった。
「私は…」
弟として好き…と言いたい…けど口が拒もうとする。
「返事は…ゆっくりでいい」
冬麻は私に向かって満面な笑顔を見せた。
「うん」
鼓動がだんだん早くなる。
今までバカとか散々言ってきてた私がバカだったとふと思った
私…冬麻の事…
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