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「陽南!ひーな!ねぇ…陽南っばぁー!!」
朝っぱらから…相変わらず元気がいい私の弟、冬麻は私の名前をひっきりなしに呼んでいる。
…うるさいしぃ
「陽南!ねぇ!!」
もぅ……
「陽南…」
少し可哀想になったので
「…なんだよ。」
冷たく言うと、いつもの笑顔を見せてこう言った。
「陽南!おはよー♪」
…それだけ?
挨拶の為にこんなに私の事を呼んでたなんて…
「…てか、陽南って呼ぶの辞めようよ。なんかこう…姉ちゃんとか姉貴の方が理想的なんだけど…」
私が1番気にしてることを初めて口に出した。
私…あいつの姉なのに、なんで呼び捨てにされなきゃいけないの
分かったって言って!
私の弟だから、絶対分かってくれるはず
「う~ん…ヤダ☆」
…
何なんだ…あり得ない。
「お願いだから、辞めて」
「だって…俺さ、陽南って名前大好きなんだ☆」
…えぇ…
流石に弟に言われると嬉しいどころか…ははっ
「…あっそうですか…冬麻君」
「水くさいな…俺も陽南って呼んでるんだからさ、陽南も冬麻って呼んでよ♪」
私…お前に陽南って呼んでって頼んでないよ…
「分かったよ。冬麻」
そう言うと…弟の顔が…笑った。
「もぅ…陽南可愛すぎ!!」
弟は私に抱きついてきた。
やはり…弟に抱きつかれるなんて、地獄に落ちることより辛い…みたいだ
「…辞めろ。我が弟よ」
「だから…冬麻だってば!」
「知るかっ!放して!」
「ヤだぁ(笑)」
こうなったら、最終手段…決行
「…放さないと…冬麻って呼ばないから。」
私が笑いながら言うと弟は、サササッ!と私から離れた。
「良くできましたぁ。冬麻さん」
「だから、冬麻だって!!」
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