弟は尋常じゃなく…純粋だ

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帰り道。 私は冬麻の手に大きい紙袋と小さい紙袋があるのに気づいた。 「ねぇ…冬麻…手に何持ってるの?」 「あっ!!!こ、これは駄目だよ!!まだ見せられない」 冬麻は焦っていた 「じゃあ、その小さいのだけ!!お願い!!」 「…たくっ…小さいのだけだぞ」 冬麻は小さい紙袋をガサガサといじり、紙コップを出した。 「何これ?紙コップ?」 「カフェオレだよ」 「何で?てか…冬麻ってカフェオレ飲めたんだ(笑)」 「の、飲めるし!これは…陽南…ボソボソ」 「何?聞こえない!」 「だから…陽南にあげるカフェオレだったんだよ…二回も言わせんなよ」 …キュン… って胸の奥が動いた。 「私のために?」 「…ん」 「ありがとう!頂戴!」 「駄目だ!!凄い冷たいんだぞ!お腹壊したらどうするんだよ!」 「大丈夫!!!ほら貸して」 私は冬麻の手からカフェオレを取って少し口に運んだ 「冷たっ!!アイス買ったの?」 「違う!ホット買ったけど待ってる間に冷めちまったんだよ」 …それだけ待たせちゃったんだ。 「ごめんね」 「いいよ。もう」 「このカフェオレ美味しい…」 「冷たいのに?」 「うん…」だって… 冬麻の優しさだけで十分温かいんだもん。
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