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「怒ってる訳じゃないんだ。母さんがさっき言ってた事覚えてるか?」
「うん。あの私が待ち合わせ場所に来なかったら帰ってこいってやつね」
「そう…でも俺にはそれが出来ない」
「何で?」
「俺は約束守らないやつ一番嫌い…陽南除く。あと嘘つくやつも嫌い…陽南除く。」
「何で私は除かれてんのよ💦」
「まぁ…そういう事で…」
「話を無視するなぁ!!」
「だから自分も嘘つきたくないし、約束した事はきちんと守りたいんだ。」
「意外と真面目なんだぁ」
「なっ!陽南だって真面目だよ」
「ううん…全然…冬麻とした約束忘れてたし…冬麻は私と違って全然真面目。」
「……。」
冬麻は無言で俯いている。
「ごめんね…こんな姉で…」
「だから!!自分の気持ちにも俺は嘘つきたくねぇんだ!!」
冬麻が私が話をしてたら、顔を上げ私の両肩をつかんで言った。
「おい…私の話聞いてた?」
「俺…」
「おい!!」
「陽南の事…」
「話をき…」
「好きだ。」
ドクン…好きと言われたとき、私の胸の何かがパチンと弾けた。
「な、ななな!?」
「もちろん…恋愛感情だよ」
「…駄目だよ。私には海斗がいるし…しかも!私達兄弟!!」
「そんなのどうだっていいじゃないか!!!」
冬麻は急に立ち上がり大声で怒鳴った。
「う…冬麻…声が大きい…」
「あ、ごめん…」
そういうと、しゃがんでまた俯いた。
「冬麻…ありがとう…ちょっと考えさせて」
「え?…考えてくれるの?」
「う…うん」
「マジ!?」
冬麻は急に顔を上げて言った。
表情も明るくなった。
私がここで嘘!とか言うとまた顔が暗くなるよね…
そう思った私は
「うん…」
と小さく呟いた。
「マジ!!めっちゃ嬉しい!」
「そう?じゃあ、ご飯食べよ!」
「ラジャー!!」
そういうと冬麻は早々と部屋を出ていった。
冬麻の部屋に残った私は、さっきの冬麻みたいに真っ暗な部屋で俯いた。
私は冬麻の部屋でこう呟いた。
「冬麻…私を許して
私はあなたに叶えてあげられない嘘をついた。」
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