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「さてと。治していきますかね」
気を失ったリリスちゃんをシリウスから受け取り、シリウスが切り倒した木に寝かせる。
改めてシリウスから、彼女が生身でしかも一方的に危害を加えられていた事を聞いた。
「…やっぱりな。こんな怪我は普通に生きてたらしない。やっぱ魔法は怖いよ」
「……そうか」
傷の深さや怪我の酷さを詳しく把握し、優先順位を付けていく。
「頼むぜ、上手くいってくれよ!……神聖なる光の力よ、その力を用って傷を癒したまえ-【ヒール】!」
俺は詠唱を介して魔法名を唱える。
まずは折れた腕の骨を修復する為に、彼女の紫色に腫れ上がる痛々しい腕に軽く触れた。
光の魔力が腕を包み込み本当に少しずつだが、断裂した神経や砕けた骨が元の姿を取り戻していく。
(あとはこのまま魔力の流れを相手のそれと同じ様に巡らせる)
ゆっくりと流れるリリスの魔力を大吾は捕捉し、並列走行をするように自分のリズムを合わせる。
「…集中……集中……」
頬には冷や汗を流し、リズムを崩さない様に小さく呟きを入れながら回復を行う。
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