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バトルロワイヤルを1週間後に控えたある日。
早川は突然として思い出した様に授業中に呟いた。
「あっ、学園祭の事忘れてたぁあああ!」
呆然とする生徒達を傍目に早川は教卓にケータイをたたき付け黒板に書いてある字を全て消した。
「あ…まだ写してないのに」
授業の最初の方を寝て過ごした氷室は悲しい目で消され行く文字を眺める。
ネクタイを緩め、第二ボタンまで外した早川は冷や汗をかいていた。
生徒の大半が奇っ怪な視線を早川に送り、何とも言えない雰囲気が漂う。
2回深呼吸をした早川はチョークを片手に黒板を勢い良くたたき付けた。
「すまねえ皆!バトルロワイヤルに頭が行ってて学園祭の存在を忘れてた!」
数秒の沈黙が流れる。
「「「「はぁあああああああ!?」」」」
学園祭なんてこの学園にあったんだ。と、全生徒が思った瞬間である。
頭を抱える早川は黒板にチョークで『学園祭』と文字を書いていく。
「毎年この春海魔法学園ではバトルロワイヤルと平行して学園祭も一緒にやるんだよ。
バトルロワイヤルでは生徒の家族や友人、それに軍の関係者が訪れるから売上もかなり出るって理由でな」
何とも黒い理由だ。
「軍の関係者?」
隼斗が疑問に思ったので声を上げる。
ああ、と軽く早川は頷き知らない人の為に説明をする。
「毎年バトルロワイヤルを拝見しに軍のお偉いさんが来るんだぞ。
そこでお偉いさんの目に留まれば将来は軍に試験とか無しで入れて貰える。
実際、俺も言われたが断った」
「へぇ」
軍は強い人材が喉から手が出るほど欲しい様だ。
学生の時に契約することにより他の人に取られる恐れはなくなる。
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