おかえり

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これは今から数年前の話です。 私にはU子という3つ下の妹が いました。 小学生だったU子は私より 学校の帰りが早く、 いつも私が家に帰ると真っ先に 自室から顔を出して「おかえり。」 と言って私が「ただいま。」 と返すのが日常でした。 そんなある日の事、私が家に 帰ると、いつもの「おかえり。」 がありませんでした。 『寝てるのかな?』そう 思いながら自室に行こうと 妹の部屋の前を通り過ぎた時 ガチャリ……キィイ…ィーーー…ー…… 「おかえり……。」 ドアの開く音と妹の声がしました 「ああゴメン、起こしちゃった?」 そう言って私が振り返ると 妹は居らず、ドアも開いていません でした。 一瞬だけゾクリとしましたが私は 妹の悪戯かと思い、妹の部屋の ドアに手をかけて 「U子ー!お姉ちゃんがその類の 悪戯苦手なの知ってるでしょ!!」 と言って一気に妹の部屋のドア を開けました、しかし中に 妹はいませんでした。 「気のせいにしてはやけに ハッキリ聞こえたし……」 そう思うと益々不気味で、 妹はどこかに隠れていると 思い込む事にし、そのまま 自室に戻りました。 それから一時間程経ち、 家に一本の電話が掛かって来ました。 「もしもし○○さんですか? こちらは××病院ですが 急いで病院に来て下さい U子さんが交通事故に遭い、 先程亡くなられました。」 その言葉を聞いて私は 頭が真っ白になりました。妹が死んだ、それと同時に 『じゃあ先程聞いたあれは 一体何だったのか。』という 考えが頭の中を埋め尽くした。
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