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電話を切った直後の事です。
ガチャリ…キィーー…イィーーー…バタンッ
ガチャリ…キィーー…イィーーー…バタン
と階上から仕切りにドアの開閉
する音が聞こえてきました、
そしてそれに紛れた
聞き間違えるはずのない声音を
私は聞いてしまったのです。
「おかえり…おかえり……。」
間違いなくU子の声でした、
しかしそれは私が無視をすれば
する程徐々に
キシリ…ギシリ……
と床を軋ませながら近づいて
来るのです。
キシリ…ギシリ……
「おかえり…」
ギシリ……キシリ…
「おかえり…おかえり……」
私は目を閉じ耳を塞ぎ、無視を
決め込みました、しかし、
それはやがて私の目の前で……
キシリ…ギシリ……キシ…ギシ…ッ…
「おかえりぃ…お姉ちゃん……」
『今、私の目の前には、
死んだはずのU子がいる。』
しかし私は恐怖心から
その不確かな事実を受け容れる
事が出来ず、ただ押し黙り
やり過ごそうとしました。
しかし
「おかえり…おかえり……
おかえり…………
………おかえりぃ…………。」
遂には耳元でU子の声がして、
私の肩にそれの手が置かれたので
す、そして私はある考えに
辿り着きました。
『U子は私をあの世へ連れて
行こうとしている。』
そう考えると私は耐え切れなく
なり、悲鳴を上げて玄関に
走りました、しかしドアが開きません。
そうしている内にも後ろからは
「おかえり…おかえりぃ……」
とU子の声が木霊していました。
『自室に籠もるしかない』と
私は階段を駆け上がり、
自室に走り込もうとした瞬間……
ガチャッ……バタンッ!!
突然U子の部屋のドアが開き、
私の行く手を阻みました。
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